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ホリスティックな健康づくり

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ホリスティックとは、体を脳、内臓、目、骨などと、部分で捉えるのではなく、心も含めた体も全体で捉える自然医療の考え方です。今回は、ホリス ティック医療に欠かせないナチュロパシー、自然医療専門教育機関のバスティア大学、自然で体によいと注目されているスーパーフード、自然素材を用い た優しいホリスティック・スパをご紹介します。

取材・文:吉田麻葉、山﨑悠 写真:吉田麻葉

  1. はじめてのナチュロパシー
  2. 自然療法の名門校・バスティア大学キャンパス訪問
  3. 身近なスーパーフード
  4. 心と体の健康を保って肌も美しく

 

はじめてのナチュロパシー

心身の不調の回復をできるだけ薬に頼らずに目指す自然医療(ナチュロパシー)。現在米国では、ワシントン州を含めた13州で医療として認可されている。ベルビューに自然医療を用いたフェメ・クリニック(Femme Clinique)を開業している加藤亜希子院長に、自然医療の魅力と日常的に取り入れられるセルフケアについて話を聞いた。

症状の根本原因を追究する

病気になると通常の病院では、胃腸炎なら胃腸薬、風邪なら風邪薬というようにすぐに薬を処方されますが、ナチュロパシークリニックのアプローチは少し違います。症状を一時的に抑制するのではなく、症状の根本原因を追求し、なるべく薬を使わず自然な治癒を促す医療ですから、まず、なぜ胃腸炎になっているのか、なぜ風邪を引いているのか、という原因を探ります。もちろん薬も処方できますが、症状の原因を追究していくと、普段食べているものが原因だったり、生活習慣や精神面に原因があったりと、薬を飲んでも改善されないところに真因が見つかる場合もあります。

ホリスティックに捉えるナチュロパシー

通常の医療だと、症状を抑えるための薬が処方されて、その薬の副作用を抑えるためにさらに別の薬が処方されて、というようにたくさんの薬を飲まざるを得ないケースがあります。しかし、ナチュロパシーでは、普段の食生活を栄養学の観点から改善したり、植物性のホルモンや西洋ハーブ、ホメオパシーを用います。患者さんの普段の生活習慣を詳しくヒアリングしていって、ストレスがどのくらいあるのか、どのようにストレスを解消できているのかなども診ていきます。患者さんの症状だけを診るのではなく、患者さんの生活習慣までを含め、全体を診る、つまりホリスティックに捉えるのが特徴ですね。そうすることで、薬に頼らず健康を維持し、病気を予防することを目指します。ですから初診にかかる時間も60~90分と長いんです。フォローアップにも15~30分ほどかけるので、患者さんとのコミュニケーションが密なのが特徴でもありますね。

不眠症、鬱などの慢性的な不調や、子ども・動物にも効果的

ナチュロパシーのクリニックに来る方は、慢性的な病気を持っている方が多いんです。医師に処方された薬を飲み続けているにも関わらず症状が改善しない方が、セカンドオピニオンを求めて来院されることも多いですね。鬱や不眠の症状を抑える薬はありますが、そういう薬を長期間取り続けるのはあまり身体によくありません。このような方がナチュロパシーを試して症状が改善するというケースはよくあります。また、薬をなるべく飲みたくない方や、薬に敏感なお子さんや動物にもナチュロパシーは効果的です。もちろん症状をしっかり見極め、必要なときは薬を処方しますが、ハーブやホメオパシー、栄養学を用いて病気を治していくことも少なくありません。

ナチュロパシーの認知度が高いワシントン州

全米50州の中でも、ワシントン州を含めた西海岸とニューヨーク州周辺の東海岸はナチュロパシーの認知度が高く、よく治療に用いられています。ワシントン州には自然医療専門のバスティア大学という教育機関もありますから、ナチュロパシーの開業医も多いんです。そのせいか、この地域に住んでいる方々の健康意識は非常に高いと思います。みなさん、食べるべきでないものを知っていますし、日頃から運動を心がけたり、サプリメントで足りない栄養素を補おうとしていますね。アメリカの南部や中部にいくとナチュロパスドクターはあまりいなくて、油分の多いものばかりを食べて野菜をあまり食べないなど、食生活が乱れている方も多いです。中南部エリアの心臓病や心臓発作、肥満の率が高いのも、食生活の乱れに大きく関係があります。

ナチュロパシーを使ったセルフケア

【ストレス】

ストレスは、不眠やホルモンバランスの乱れなど、様々な不調の原因となるので日頃からため込まないように心がけてほしいですね。一番良いのはやはり運動。1日30分歩くだけでもよいでしょう。特に、公園や湖、海岸など自然の中を選んで歩いていただきたいですね。私たちは常にコンピューターや電気機器に囲まれて暮らしているので、テクノロジーから距離を置いて自然と触れ合う時間を持つことが必要。Screen Shot 2015-10-26 at 2.34.01 PM-min 深呼吸もとても大事です。実は今、深呼吸をしていない方が本当に多いんです。仕事や勉強、毎日の生活に忙しく呼吸が浅くなっていて、酸素吸入ができていない。1日1回手を休めて、鼻から息を吸って吐くことを10回繰り返してください。それだけで気持ちが落ち着ついてきます。 最後に休暇。アメリカでは祝日が少ないので、まとまった休みをとることが難しいですよね。でも、できれば3カ月に1回くらいのペースでショートトリップの機会を設ける。もちろん日帰りでもいいのですが、普段生活している場所から離れたちょっとしたバケーション。そういう時間を持つことがストレス解消にはとても大事です。

【生理痛】

生理痛の原因は、ホルモンバランスと栄養バランスの乱れ。私はビタミンB6を生理痛用にすすめています。サプリメントで補っても良いのですが、緑黄色野菜などの野菜全般および充分な水分を取るようにしてください。サプリメントならば生理が始まる2週間前から取り始めてください。野菜は日頃から意識して食べておくべきですね。

【便秘】

便秘には水分、繊維、マグネシウムが大事です。マグネシウムは色々な食べ物に少しずつ入っていますが、特に緑黄色野菜やパプリカなどを食べるようにすると良いです。よく日常的にチョコレートを食べている方がいますが、それはマグネシウム不足が原因かもしれません。チョコレートにマグネシウムが入っているわけではないのですが、マグネシウム不足がチョコレート欲を引き出しているケースがよくあります。

【花粉症などのアレルギー】

Screen Shot 2015-10-26 at 2.34.32 PM ホメオパシーのヒスタムネム(Histaminum)がおすすめです。ホメオパシーは自然食品店やオーガニック商品を取り揃えているドラッグストアで処方箋なしで買うことができます。含有量が異なる6Cと30Cがあって、30Cのほうが少し強めです。症状を感じたら5粒飲んでみてください。 ネトルリーフ(Nettle Leaf)というハーブのお茶や紅茶も効きます。このお茶に、自分の住んでいる地域でとれたハチミツを加えると、なお良し。

【風邪】

風邪には亜鉛とビタミンCです。亜鉛には抗ウイルスの働きがあります。亜鉛の入ったのど飴というのがお店で売られているのですが、のどが痛いときに舐めると症状が治まります。基本としては、うがいと手洗いが大事ですね。

【頭痛】

頭痛には色々な原因があるので難しいのですが、まずは水をたくさん飲んでみると症状が収まるケースもあります。アメリカではダイエットソーダとか甘いジュースとか、色々な清涼飲料が売られていますが、水とハーブ茶以外は水分補給になりません。特に男性の方で多いのですが、清涼飲料を常習的に飲んでいて脱水症状から頭痛になる方がいます。頭痛を感じたらまずは水を飲んで様子をみてください。もちろん、頭痛が続くようであったり、繰り返すようであれば主治医の先生に診てもらうことが必要。首周りの凝りからくる頭痛だったら、マグネシウムを取ることで改善されることもあります。女性の場合、生理直前の頭痛はホルモン異常の可能性もあります。

【ダイエット】

年をとるにつれてメタボリズムが低下していくので、若いときと同じように食事していると太ってしまいます。やはりカロリーの量はコントロールしていかないといけません。みなさん炭水化物と糖分、脂肪分が多くて、たんぱく質が不足しがち。肉を選ぶときは脂肪分が少ない肉を。脂肪分が控えめだったり、全くついていない肉も売られています。

【食事】

健康のため、なるべく普段から加工食品や添加物、ジャンクフードは避けたいですね。乳製品、小麦の使用を少なくし、野菜や魚、果物、肉などをなるべく素材のまま食べる食事法をパレオダイエット(Paleo diet)といいますが、美容、健康、アンチエイジングを目指す方が実践しています。 注意してほしいのが、異性化糖(high fructose corn syrup)。ケチャップやBBQソースなどに入っている加工された糖なのですが、コレステロールと血糖値を上げます。オーガニック商品を選ぶと異性化糖の摂取は控えめになるのですが、日常的に取っていた人にとっては、オーガニック商品は味が少し物足りなく感じられると思います。それは、異性化糖に味覚が慣れてしまっているということなんです。それでも意識して避けるようにすると、太り気味だった人が痩せてきたり、コレステロールや血糖の値が改善していきます。

Screen Shot 2015-10-26 at 2.34.41 PM

フェメ・クリニック(Femme Clinique) 1900 116th Ave. NE #200, Bellevue ☎425-274-2777 femmeclinique.com

 

 

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