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H-1B ビザ:2018 年最新情報

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

*同記事は、ワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得し、カンザス州及びワシントン州において弁護士資格を持ち、K&I Lawyersを琴河利恵弁護士と共に創業した五十畑諭弁護士が、在シアトル日本人の読者に向けて解説しているものです。詳細については、K&I Lawyersなど移民法の専門家へお問い合わせください。

H-1B ビザ:2018 年最新情報

4年制大学・大学院を卒業して米国で就職する方に一般的であるH-1Bビザ。2019年会計年度(2018年10月1日から2019年9月30日)の申請は、受付開始日の4月2日から5営業日で上限を超える19万98件の申請が受け付けられました。昨年は約19万9,000件、一昨年は約23万6,000件、その前年は約23万3,000件だったので、若干の減少のトレンドが続いていることになります。

H-1Bビザの一会計年度発給枠は、6万5,000件です。また、米国大学の修士号取得者枠として、別途2万件が割り当てられています。移民局は、受け付けた申請の中から、無作為の抽選によって、実際に審査する申請を選びますが、この抽選は、4月11日にコンピュータによって行われました。しかし、実際に選ばれた申請のデータエントリーを終えたのは5月15日で、この日以降に、選ばれた申請に関しては申請受領書の送付を、選ばれなかった申請に関しては申請書の返却が開始されました。なお、件数が膨大なため、移民局はいつまでに全ての送付・返却が完了するかを明確にしていません。しかし、送付・返却が完了した時に、別途正式にアナウンスを発表するということで、それ以前の問い合わせをしないように注意を呼びかけています。例年、この送付・返却手続きには、2カ月ほどかかります。

H-1Bビザ審査に関しては、15日以内で審査をしてもらえるプレミアム・プロセッシング・サービスが、2019年会計年度の枠内申請分(今年新規で申請された分)に関して、一時的に停止されます。移民局は、いつまで停止するかを明確にしていませんが、9月10日ごろまでとの見通しを示唆しています。なお、H-1Bの延長申請や変更申請などは、引き続きプレミアム・プロセッシング・サービスが利用できます。

H-1Bビザに関しては、2017年会計年度の統計が発表されたのでご紹介します。この会計年度中に申請されたH-1B労働者数は合計36万5,682人、そのうちインド出身者は27万6,423人と、国別で1位となっています。2位は中国で3万4,477人です。日本人は1,269人で、国別で16位となります。職業別では、1位はコンピューター関連で25万4,592人、2位は建築・エンジニア・測量関連で2万9,210人となっています。

H-2Bビザも、H-1B同様、年間発給枠に上限があり、6万6,000人を前期3万3,000人(10月~3月)と後期3万3,000人(4月~9月)に振り分けています。現在ある枠免除は、魚卵技術者および北マリアナ諸島・グアムで従事する労働者、およびすでに年度内の枠にカウントされた労働者の延長・変更申請のみです。昨年同様、今年も労働省(DOL)でのプロセスに大幅な遅延が生じました。この遅延の理由は、単純にDOLが対応できる申請数を大幅に超えた数の申請を受け付けたためでした。H-2Bビザは、仕事開始日の90日前から申請可能ですが、後期の枠がオープンとなる4月1日の90日前である1月1日に、多数の申請が提出されました。

DOLによると1月最初の1週間で受け付けた申請数は4,476件で、労働者数にすると8万652人でした。昨年の2,837件(労働者数5万957人)から大幅に増加しており、最初の1週間の申請数のみで枠上限となる3万3,000人を超える申請を受け付けたことになります。H-2Bは、1件の申請で複数人の労働者のスポンサーが可能なため、申請件数と枠のカウントである人数とで相違があります。実際の枠が集計される移民局の審査受付開始は2月21日で、H-1B同様最初の5営業日で2,700件(労働者数4万7,000人)の申請を受け付けたため、それ以降の受け付けはなされず、2月28日に無作為の抽選によって審査する申請が選ばれました。昨年同様、H-2Bビザに関しては、年度途中での枠の増加が認められました。追加で1万5,000件の増加を認めた法律に大統領が署名したのが3月23日でしたが、この増加を最終的に認可する権限が、国土安全保障省の長官にゆだねられていたため、実際の申請受付は5月31日からとなりました。この1万5,000件も、受付開始から5営業日で上限を超えた申請がなされたため、抽選となりました。

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118