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写真映像作家 松井みさきさん

自身が手がけた英語版東京ガイド付き写真集『トウキョー・マインドスケープス』がインターナショナルフォトグラフィアワード本部門に入選するなど、東京とニューヨークで活動の場を広げている松井みさきさん。撮影秘話から、東京の風景への思い、おすすめ撮影スポットまでを語ってもらいました。

写真提供:松井みさき

ニューヨークの出版社ムセイオンから「2020年の東京オリンピックに向け、英語のガイドブックを写真集のように作りましょう」と話をいただき、制作した『トウキョー・マインドスケープス』は、4月の桜に始まり3月の梅に終わるページ構成で日本の四季の美しさを伝えています。私は日本生まれの日本育ちですが、長年ニューヨークに住んでいたので、渡米前とは違った視点で東京の美しさを切り取ることができました。自然の移り変わりに合わせての撮影では、桜の見頃が読み切れず同じ場所に何度も足を運んだり、富士山も晴れているのに雲で見えなかったりと、苦労もありました。

世田谷区羽根木公園に咲く梅の花

ニューヨーク、東京、大阪などで行ったトークイベントでは、うれしいことに日本人の方からも「東京にこんな素敵な場所があるなんて知らなかった」「日本もきれいな国じゃないか!と思った」との声をいただきました。たとえば東京都世田谷区は、都会ながら梅の名所がいくつかあり、住んでいながら知らなかったという声が聞かれました。「近いからいつでも行ける」と思いつつ、ずっと行ったことがない、という場所は少なくないと思います。忙しい日本人は、今日の夕焼けがどんな色か、今どんな花が咲いているか、気にするヒマもなく働いています。私自身、日本での会社員時代がまさにそうで、渡米して初めて、帰国時にレンズを通して見る日本の風景の美しさに気付きました。大都会でふとリラックスして自分の心を取り戻せるようにと祈りを込めた写真集には、「東京心風景」の副題を付けています。マイナーなスポットも多数掲載しているので、日本人の方が見ても東京の魅力を再認識してもらえると思います。外国人旅行者向けに、散歩目線で近郊の観光スポットやカフェ、お土産情報なども英語で説明しているので、ギフトにもぴったりです。

東京を代表とする桜の名所皇居千鳥ヶ淵

桜は日本独特の花。東京で写真を撮るときは、東京タワーなどのアイコン、東京ミッドタウンといった現代的な建物、皇居を始めとする歴史的建造物を桜と組み合わせると、いかにも日本らしいと思います。自然光での昼間、ライトアップされた夜の両方が楽しめますよ。また、渋谷のスクランブル交差点は今や世界的に有名な撮影スポット。2019年11月に、地上47階建ての複合施設、渋谷スクランブルスクエアがオープンし、その屋上「渋谷スカイ」からスクランブル交差点を眺められるようになりました。2020年、アメリカ人の家族や友人に東京を案内するのにおすすめです。

松井みさき(misaki matsui)■兵庫県神戸市生まれ。日本の広告会社でのプランナー職を経て、2008年にニューヨークへ。風景・人物の写真展を日米で開催。2013年より映像も制作し、国内外の映画祭に入選。2019年7月、東京近郊の写真100点以上を英語の観光情報と共に掲載する『Tokyo Mindscapes(トウキョー・マインドスケープス)』を米国出版社のムセイオンから発売。www.misakimatsui.com

 

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